5950Xによる蹂躙が…今、始まる!!!!
(前回までの話)
(以下本文)
09)検証:ベンチマークレギュレーションの策定
<の前にササッと経緯をおさらい>
元々シングル性能不足が原因でCPU交換を行ったのでした。
AM4環境で22H1時点最強のCPUだったので5950Xを選択。
中古購入からM/B汚損・ピン曲がりなどトラブルに見舞われながら何とかここまでたどり着きました。
<結局何を調べたいのか>
3700Xと比べてどれだけ性能が上がったか
端的にこれだけです。
ただ、これだけでは何も面白くないので、歴代のメイン機・サブ機を動員しています。
その結果、検証対象はここまで増えました。
細かい検証条件は後ほど。
CPUのロゴマークを眺めたりアレコレできるのは気分が良い…
何か抜けてる?気にすんな()
<選ばれたベンチマークソフト達>
[CPUそのものの性能検証]
- Cinebench (R15/R20/R23:Multi/Single)
- CPU-Z (x64/x86:Multi/Single)
- CrystalMark 2004 (ALU/FPU)
これらは単純なCPUの地力を見るためのテストです。
32bitソフトや2004年のベンチソフトを使う理由は後述。
[実際の利用における快適さ]
- 7-Zip (圧縮/解凍:Multi/Single)
- Mozilla Kraken
実利用を想定し、シングル性能もある程度確認できる組み合わせ。
[選定理由]
前提条件として、
- そこまで重たいゲームはやらない
- そこそこ新しいソフトで安定的に高い性能が欲しい
という要件が挙げられます。
そのため、他レビュアーさんが実行したようなゲームベンチは全て除外しました。
また、
- サンプル数を自力で稼いだデータベースを組みたい
- メインとサブの戦力差が酷すぎてCPUの地力以外に比べたい項目がない
ことから、実アプリの検証はブラウジングと圧縮解凍に限ったものとしています。
※この2タスクだけはどのマシンでも実行するため
<ベンチマークレギュレーション>
- 各テストは3回連続で実行する
- リザルトは3回の中で最も高いスコアを採用
OS・RAM・M/B・ストレージ…何一つ統一できないため、スコアに関しては中の人検証環境による参考値として見て下さい。
10)検証:ベンチマーク基本性能編
<Cinebench>
まずはみんな大好きCinebench R15
R15の結果はこうなった。
マルチ性能は当然のように3700Xの2倍程度になった…
が、シングル性能は3割ほど上昇。
ということは…R15とメニーコア(10+)の相性ってあまり良くないのか?
コアクロック自体もそこまで落ちた訳ではないので、より新しいR20を見ていこう。
R20も好きなんだろう?
その結果がこれだ。
今回も5950Xのマルチが思うように伸びていない。
3700Xと5950XでCPU以外の条件は同じなので、何かしら足を引っ張る存在はありそうだ。
ただ、PBO当てるとキッチリ10000+出してくるので順当な性能向上は見られる。
なお、この計測回では5950X・3700X共に強烈な下振れを引いている。
そのため、他レビュアーさんの記事と比べると特にシングル性能が大幅に低い。
???「最新のR23も試してみないか?」
中身はほぼほぼR20と同じらしいが、果たして…
やはりここでも定格動作だとマルチ性能で3700Xの2倍は厳しそう、という結果。
それでもPBOを当てるだけで3700Xの2倍出せることや、シングル性能が大きく強化されていることは特筆すべき結果だろう。
と、ここまでCinebenchに限って話を進めれば
- シングル性能は2割ほど強化
- マルチ性能は2.4倍とならず2倍程度に留まる
結果に。マルチ時にクロックがガクッと下がるからなのかも。
<CPU-Z>
まずは現在主流のx64(64bit環境)から。
やはりというか何というか…
以前からスコア自体がCinebench R20に近いような感じがしてたと思うと案の定。
ただ、こちらではシングル性能で3700Xに3割も差をつけている。
IPCとクロック双方がしっかり反映された結果とも考えられる。
そう考えると最新ソフトは何を動かしても快適そうに思える。
また、i5-6200Uとi5-580Mの関係性も面白いことに。
では古いソフトに多い32bit環境だとどうなるか?x86でも同じように検証したのがこちら。
…こちらはあまり良いとは言えない結果になった。
特にシングル性能は、クロックも世代も下のi7-4712MQが5950Xと3700Xの両方に勝ってしまっている。
流石に計測ミスでは?と思って何度も繰り返したが、4712MQや4770無印の方が圧倒的だったのは変わらず。
何ならE6850と3700Xが互角ということも考えると…どうやらRyzenは32bitアプリで全力を出せない可能性があります。
もっと恐ろしいのは、5950Xと3700Xでシングル性能にほとんど差がないこと。
ハッキリ言えるのは、「古いソフトには古いハードが一番」ってことかも。
<CrystalMark 2004>
ALU(算術論理演算装置)が四則演算やら論理演算やらを実際に実行するユニット。
これを見れば純粋なCPUの演算能力がわかるのだが…
3700X→5950Xで2.62倍…コア数が2倍・マルチ性能の定格クロックが微減ということは…
このベンチから推測したIPCはZen2→Zen3で31%も伸びた計算になる。
一方でFPU(浮動小数点演算処理装置)はALUほど伸びてない。
ここからZen3の改良点を推測するなら、整数演算の強化が主体かと思われます。
https://www.slideshare.net/AMD/amd-where-gaming-begins-239086719
と思って見たらやっぱりALU周りの強化が入ってた…
なお、5950X PBO時にFPUが2割以上伸びた理由は不明。
これも何度やっても同じ結果になりました。
ここまでで5950Xの基本性能を調べたので、ここからは実アプリ使用時の性能を見ていきます。
11)検証:ベンチマーク実アプリ編
<7-Zip>
解凍が圧倒的な数字、圧縮もコア数の差程ではないにせよ大差をつけています。
これらは一般的な使い方で特によく出るマルチスレッドタスクなので…ありがたい。
シングル性能を見てもやはり安定して強化されているので、裏でゴチャゴチャ動かしても良さそう。
シングルでここまで強いなら、何も心配することはないです。
<Mozilla Kraken JS>
最後はウェブブラウザの快適さを見るためのベンチマーク。
これだけグラフが短いほど好成績ということに注意。
「ちもろぐ」さんでは1000msecを「快適」と判定する基準ではあります。
なのでこれで言えば4770無印でも十分…てことになりますが、5950Xはその倍近い速度で処理してしまう。
しかしこうして見ると3700Xもメチャクチャ強いですね。
クリエイター向けのサブ機としてならまだまだ十分新規で組む価値がある。
12)感想:やはり現役最強のタイトルホルダーは強かった
ここまでの検証で5950Xの良かったところ、悪かったところをササッと挙げます。
<良かったところ>
- 16C 32Tの暴力的なスレッド数
- Zen3アーキテクチャによる高いIPC・シングル性能
- シングル性能とマルチ性能の高水準な両立
- Zen2よりも高いクロックでゴリ押しも可能
- 全て対称型のメニーコア設計で安定した性能(x64環境に限る)
<悪かったところ>
- x86環境だと性能が伸び切らない
- シングル高負荷時とマルチ高負荷時でクロックが下がる分、MP Ratioは控えめ
- IPC上昇の恩恵が全くないソフトもある(下がる訳では無いのが救い)
と、とりあえず今回の検証でハッキリしたPros/Consをザックリ挙げた訳です。
消費電力に関しては他所様のレビューを参考にして下さい。(測定環境がない)
さて、ここで「MP Ratioが控えめ」ということが問題になりました。
16C 32Tもある5950XのMP Ratioは16倍前後なことが多いのです。
8C 16Tの3700XはMP Ratioが10倍前後なので、コア数から考えると20倍までは伸びそう。
そうもいかない理由はやはり電力制限だと思います。
そこで気になったのが、MP Ratioの分岐点。
なので次回(そして最終)検証として、スレッド数毎に5950Xの挙動をまとめてみようと思います。
それにしても…ワーストケースでも実用的な性能を維持しつつ、扱いやすいメニーコアを一般向けに下ろしてくるとは。
5950X…恐ろしい助っ人でしたね…
いよいよ次回は5950Xネタの〆に細かな挙動を検証していきます。
~あと1回続くよ~
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